運動をすると血糖値は上がるか下がるか

運動をするにはエネルギーが必要ですが、そのエネルギーは肝臓に貯えられてあり、ブドウ糖がいくつも繋がったグリコーゲンを糖に分解して得ることになります。

長時間運動しているとエネルギーとして血液中の糖を使い、それが無くなることで、運動直後の血糖値は上がる傾向にあります。

ブドウ糖は燃えやすいエネルギーであることから、運動をするとブドウ糖が燃やされて消費され、そして低血糖の状態になるというメカニズムになっています。

運動をすると、基本的には下がる傾向にあり、空腹できつい運動をした場合には低血糖をおこしてしまうことがあります。

運動をすると血糖値が上がる原理

ある程度強い運動をしていると、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどの血糖値を上昇させるホルモンが分泌されますが、糖質制限食を行うことで血糖コントロール良好な場合、通常であれば運動で血糖値が下がる可能性が高いです。

健常者の場合、血糖値が上昇すると同時にインスリンが分泌されて血糖値をもとに戻すのですが、糖尿病の人の場合は時間差がありその分遅れるので、短い時間で強度の強い運動をすると、血糖値が上昇する傾向があります。

しかし、ジョギングのようにゆっくりでも長い時間でほどよい強度であれば血糖値は下がる可能性はあります。

インスリンがなければ、運動で消費されるエネルギーを調達するために、必要な血糖を血管から細胞の中に取り込むことができにくくなり、体は脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。

空腹時に運動すると肝臓のグリコーゲン分解が、血液中のブドウ糖の主要供給源となりますが、インスリンがなければ血糖は血管の中に滞ったままで消費されることはないので、血糖値は上昇していくことになります。

ストレスが体に負担を与えると血糖値が上がる

痩せているのにもかかわらず、高血糖や糖尿病を発症している人がいますが、その原因は食事とストレスと言われます。

ストレスや興奮を感じると副腎皮質ホルモンが分泌されます。

このホルモンのステロイドが肝臓でのタンパク質の糖化を促進して、血中に糖を放出することで血糖値が上昇します。

ストレスで糖が必要になる理由は、体は興奮したり活動的になるとそれがストレスとなって交感神経が緊張します。

交感神経が緊張する時というのは、体が運動をしていなくても運動してるのと同じようにエネルギーを消費する状態のために糖が必要となります。

強度の強い運動だけでなく、長時間労働、過重労働など、体に無理をかけることでストレスが生まれます。

このストレスは交感神経を緊張させたりストレスを克服するために血糖値を上昇させるだけでなく、アドレナリンやノルアドレナリンを分泌して血管を収縮させ、血圧を上げ、脈拍を増やし、色々な働きかけをすることで、高血糖だけでなく、血流が悪くなって体温が低下してきます。

運動をすると血糖値が下がる原理

運動を行うことで血糖値が下がるには次のような事を取りいれるとよいです。

運動には、長時間の運動で酸素をたくさん取り込んで脂肪を燃やす「有酸素運動」と、短期間で効率よく筋肉や筋力を増加させる「無酸素運動」があります。

このどちらを行なったら良いのかというと、血糖値を下げるには有酸素運動を行なうほうが効率が良いです。

その理由は、有酸素運動を行うと、エネルギーが大量に消費されますが、エネルギーになるのは血液中のブドウ糖なので、これが消費されることで血糖値の上昇を防ぐことができます。

さらに、血糖値を調節するインスリンの働きがよくなり、ブドウ糖が細胞に取り込まれやすくなるため、血糖コントロールも改善されやすくなります。

有酸素運動の例としては、ウォーキングや軽いジョギングなどがあげられますが、高齢者の場合、ヒザや腰に負荷がかかり歩くのがつらいという方は、水中歩行を行うと体に負担が少なくて済みます。

有酸素運動を行う時間として、週に3日~5日を、1回30分~1時間を目安に無理なく行うとよいです。

有酸素運動を行う時間帯として、食後は血糖値が急激に上昇しますが、運動を行うことで血糖値を下げることができるので、食事をしてから30分~1時間後くらいに有酸素運動を始めるのが、血糖値を下げるには効果的です。

運動を行うメリットとして、体がインスリンに反応しやすくなりますが、運動だけでは血糖値は下がらないので、食事療法や場合によっては薬物療法などと並行して行うことで効果が現れます。