糖尿病の恐ろしい所は、初期のころには自覚症状が表われにくいのですが、血糖値が高い状態が何年も続くと全身の血管が傷つけられて、合併症がおこります。

糖尿病の合併症には急に自覚症状が表われる急性合併症と、自覚症状が乏しいまま徐々に進行する慢性合併症があります。

急性合併症と慢性合併症について、おのおの解説していきます。

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高血糖で命に関わる急性合併症

高血糖の状態が長く続いた場合には血管が傷み、さまざまな合併症や感染症にかかりやすくなりますが、糖尿病を放置せずにきちんと治療しなければいけない理由は、血管がダメージを受けることによって起こる合併症を予防するためです。

特に急性合併症は、生活の質に大きく影響を与えることになりますし、命に関わることがあるので十分な注意が必要なのですが、実は発症頻度の点からみると慢性合併症の方が重要視されているようです。

そんな急性合併症ですが、急性合併症の中でも特に要注意なのが糖尿病昏睡です。

糖尿病昏睡には、インスリン注射を忘れた時などインスリンの不足に伴って細胞内の糖が欠乏した時に、血液が極端な酸性になっておこる「ケトアシドーシス性昏睡」、高齢者が高血糖と飲水量不足などにより脱水で血液が濃縮されてしまい高浸透圧となる「高血糖高浸透圧症候群」があります。

また、感染症のために血糖値が急に上がっておこるケースもありますが、対処が遅れてしまうと命に関わるので、すぐに医療機関で治療を受ける必要があります。

糖尿病昏睡では、激しいノドの渇き、多飲、多尿、嘔吐、腹痛、強い倦怠感などの症状が表われることが多いので、昏睡に陥る前に、これらの症状に気づいたらすぐに救急車を呼ぶように心がけてください。

慢性合併症の種類

糖尿病で最も注意しなければならないのは、太い血管の動脈硬化が進むことによっておこる合併症で、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化といった心疾患や脳血管障害などの重大な病気を引き起こしやすくなります。

糖尿病で血糖コントロールが不十分な人はこれらをおこしやすいことがわかっており、高血圧や脂質異常症は糖尿病があると著しく動脈硬化を進めてしまうので厄介です。

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慢性合併症は「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」など、細い血管の障害が原因で起こる細小血管合併症と、太い血管の動脈硬化が原因となる大血管合併症に分けられます。

糖尿病神経障害は、高血糖が続くことにより細い血管がダメージを受けて、酸素や栄養が末梢神経細胞に十分に行きわたらなくなるために、神経そのものが傷つけられ、手足のしびれや痛み、手のこわばりをはじめとするさまざまな症状を起こしたり、認知症のリスクも高くなる傾向があるようです。

糖尿病網膜症は、高血糖が続くことにより毛細血管がダメージを受けて、血流が悪くなったり、血管が閉塞したり、出血をおこしたりします。

糖尿病網膜症は日本の成人の失明率が2位の病気です。ちなみに失明率の1位は緑内障です。どちらも症状を感じることなく徐々に病状が進行しているところが似ている恐ろしい病気です。

糖尿病腎症は、高血糖が続くと、毛細血管が集まってできている組織の血管がダメージを受けて、ろ過機能が悪くなってしまいます。

糖尿病腎症の進行を早い段階で止めないと腎不全となり、血液透析を行わないと生命を維持することができなくなります。