糖尿病には、視神経障害や網膜症、腎症などの合併症があります。

特に腎症が起こった場合には、今後、食事制限が必要になりますが、どのようなことに注意していったらよいのか解説します。

血糖値

腎機能低下にはタンパク質や水分の制限もある

腎症は、糖尿病に特有の合併症のひとつですが、腎症がある場合はない場合と比べると食事療法の制限は格段と厳しくなります。

腎症を合併している場合は、塩分制限が最も厳しく、1日の摂取量の目安が5g程度になることもあります。

さらに腎機能の低下が著しい場合は、たんぱく質の1日の摂取量が標準体重1kg当たり0.8g~1gとされたり、水分の摂取量にも厳しい制限が加わったりします。

もしも糖尿病による合併症で、これから腎症に進行する可能性がある場合は、予防のために指示されている食事療法をしっかり行う必要があります。

塩分だけでなく脂質の摂り方に注意

食事療法で指導される塩分摂取は、1日10g以下が基本ですが、高血圧がある場合はさらに厳しく、1日6g未満に制限することが進められます。

これを守るには食材選びにも注意する必要がありますが、やむを得ず惣菜や加工品を利用する時は、栄養成分表示を確認しながら、ナトリウム含有量から食塩の量を計算する必要があります。

また、高血圧に脂質異常が重なった場合、動脈硬化が進行したり脳卒中などの危険性が高まる可能性があるので気をつけなければいけません。

高血圧の人は、脂質の摂り方にも十分な注意が必要です。

コレステロール値が高いのは問題か?

元々脂っこい食べ物が好きだったことから、コレステロール値が高めな場合、脂質の摂取量をなかなか適正量に抑えられないという問題が起こる可能性はあります。

コレステロールなど脂質の摂りすぎを防ぐには、コレステロールを下げる食品を摂る必要があります。

コレステロールには、LDL(悪玉コレステロール)とHDL(善玉コレステロール)があり、LDLコレステロールの値が高いと動脈硬化が進行しやすくなります。

コレステロールの摂取は1日300mg以下を目安とし、コレステロールが多く含まれる食品は控えます。

コレステロールが多い食品には、脂身の多い肉、レバー、卵、イカ、うに、うなぎ、いくら、すじこ、たらこ、からすみコンビーフ、ラード、シュークローム、エクレア、マヨネーズなどがあります。

血液中の脂肪分が多いと血糖値が上がりやすくなるので、コレステロール値だけでなく、中性脂肪の値にも気をつけなければいけません。

中性脂肪の値が高い人は飽和脂肪酸やしょ糖、果糖の摂取をできるだけ少なくすることが進められます。

なお、不飽和脂肪酸を多く含む食品には、コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあるので、うまく取り入れるとよいです。
ただし、不飽和脂肪酸を多く含む植物性油脂は、古くなると飽和脂肪酸が増えてしまうので注意が必要です。

肝機能が悪ければお酒はやめた方がよい

肝機能の数値が高くなり、一時的にお酒をやめていた場合、数値が良くなると、良くなったからと思い込んでまたお酒を飲みたくなるものです。

血糖値も安定しだすと、いっそう安心感を得てしまい、やはりお酒に走ってしまいがちです。

しかし、その後検査をしてみると肝機能の数値も血糖値も高くなっている可能性はあります。

そのような時には、禁酒をして様子をうかがってみるしかないです。

肝機能の低下がみられて検査の値が悪かった場合、食事の際に、脂肪の少ない良質のたんぱく質を摂るようにします。

肝疾患に限らず、なんらかの合併症がある場合は、禁酒をおすすめします。