糖尿病の治療には、食事療法と運動療法、薬物療法の3つしかありません。
よく糖尿病になると人工透析を受けなければ生きられないとショックを受ける方もいるようですが、人工透析は糖尿病になったから受けるのではなく、糖尿病による合併症により腎臓がうまく機能しなくなったことで透析を受けることになるのです。
糖尿病=人工透析、というような直接的な間柄ではないですが、糖尿病が進行して合併症を引き起こした場合には、直接関係することとなので、軽視することはできません。
食事により血糖値を改善していく
糖尿病治療の目的のひとつは血糖値をコントロールすることにあります。
糖尿病の治療で、たとえ糖尿病の薬を飲んでいたとしても、食事療法と運動療法は欠かすことができません。
病状がそれほど進んでいない場合には、食事療法と運動療法だけでもかなり改善することは可能です。
糖尿病の治療で、食事療法と運動療法は、お医者さんや栄養士さんなどに助言はされるかもしれませんが、100%自己管理によりすすめていかなければいけません。
しかし、さすがに全ての人が理解して進めていけるとは思いません。
その例として、たとえば、ひとり身の高齢男性の場合、今までの食事は奥さんなどに作ってもらっていた可能性が高いので、普通の食事さえ作れないかもしれないのに、ましてやそのような”糖尿病患者用の料理”などと難しく考えてしまい、敷居が高くなってしまうに違いありません。
また、栄養士の指導を受けるようにお医者さんなどから言われるかもしれませんが、忙しくて話を聞けなかったり、聞いたとしても実行が困難であるケースもあります。
そのほかにも、糖尿病治療で食事療法をすすめていくに当たり、よく耳にするのは「炭水化物」ですが、どんな食べ物が炭水化物さえ分からない方も多いと思います。
炭水化物の他にも、たんぱく質や脂質、その3つが3大栄養素と言われ人間の体を作っているのですが、これを理解できる人にとっては簡単なことでも、わからないで生活している多くの人にとっては、とても難しい外国語を聞かされているのと同じことかもしれません。
肥満対策では、カロリー制限が必要なことはよく知られていますが、血糖値を下げるという点で重要なのは、カロリーではなく炭水化物です。
炭水化物を減らすことで、血糖値が下がるだけでなく、体重も減り中性脂肪値も下がるので、一石二鳥です。
血糖値を上げるのは炭水化物なので、食事による糖尿病を改善するには、どの食べ物が「炭水化物」なのかを理解しなければいけないようです。
運動により血糖値を改善するには
糖尿病を改善するのは、食事療法と並行して運動を欠かすことはできません。
どんな運動をしたらよいのか気になると思いますが、レクレーション的に、たまに運動をしても糖尿病では何の効果もあらわれません。
ジョギングができればよい理想なのでしょうが、今まで運動をしてこなかったことで糖尿病に繋がっている人が多いのに、いきなりジョギングをすることは体に良くないです。
それよりは、たとえば、ゆっくりな速さでもウオーキングを毎日続けることがよいです。
早く歩くことはひとつの目標になりますが、いきなり無理しても後々続きませんので、初めはゆっくりとした速さで、無理のないように歩き出してみて下さい。
慣れてくればだんだんと早く歩くことができ、もっと慣れてくればゆっくりと走り出すことさえできるようになりますので、まずは24時間という1日の時間のうちに、30分の時間を必ず設けて続けることです。
時間ができた時に運動するという設定をすると、たとえば1日雨が降って休んだ場合、その次の日にはやらなくなっていることもあり、いつか挫折してやらなくなります。
おすすめの運動
今まで運動してこなかった方におすすめな運動は、一番手軽にできる ウオーキングです。
理想的な運動スタイルは、
ウオーキングは有酸素運動なので、血糖値を下げるのには理想的な運動ですが、さらに筋肉トレーニングを行い筋肉量が増えることで、より多くのブドウ糖を筋肉が血管からとりこむことができるので、血糖値が安定して下がるようになります。
無理しないで続けることで、血糖値を下げることが目標なので、挫折しないためにも、各自の体調に合わせて、初めはゆっくりはじめてもよいです。
あまりお勧めしない運動
血糖値を下げるために運動をしなければならないのですが、実はあまりお勧めできない運動もあります。
それは自転車です。
どのような原理で自転車がダメなのかは解明されてはいませんが、1時間乗っても血糖値が下がらない体験をされている方がたくさんいるので、やはり自力で歩くことが良いようです。
薬により血糖値を改善するには
薬物療法に関してはお医者さんの判断によって、病状に合った薬が投与されます。
たとえば、薬によっては速効で効果が現れるものがあるのですが、効きすぎて「低血糖がおこる危険のある薬」があったり、効きすぎる薬でも使いすぎると効かなくなってしまい、インスリンに切り替えることになってしまう薬がありますが、確実に血糖値を下げたい時には有効です。
また「低血糖の危険がない薬」では、すい臓に負担をかけない薬などがありますが、速効性という面では「低血糖がおこる危険のある薬」よりは劣りますが、安全面を考慮したり、軽症の人にはこちらが最適かと思われます。
インスリンにより血糖値を改善するには
糖尿病はインスリンが出なくなったか、もしくは効きが悪くなったことで起こる病気なので、本来はインスリンを体外から補給することが直接的な解決策です。
しかし、薬の方が体に与えるリスクは大きく危険なのに、ほとんどの方は手っ取り早く簡単にことが終わりそうな薬の方を選ぶのですが、しだいに薬の効果がなくなってきた時に初めてインスリンに切り替えるようです。
インスリン療法の最大の利点は、薬とは違い、確実に血糖値を下げることと副作用がほとんどないことです。
この時の副作用とはインスリンの量が多すぎた時に起こる低血糖なので、その場合にはジュースを1本飲めば解消できます。