なぜ糖尿病で足を切断!壊疽が進行する最大の理由

糖尿病の合併症には、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」の3つの合併症があります。
特に糖尿病神経障害は3つの中で一番早く症状が現れ、血糖値が高い人では、早くて3年、5年もたたないうちに症状が出てくることがあります。

糖尿病特有の注意すべき合併症に、糖尿病足病変があり、これは糖尿病神経障害が進み、足に潰瘍ができたり壊疽を引き起こす場合もあります。

糖尿病神経障害には初期、中期、末期があり、ここではこれらの症状について解説します。

糖尿病神経障害の初期症状

糖尿病神経障害は軽度のうちには自覚症状が全くないことが多く、症状が出始めるのはもう少し障害が進んでからです。

その時の症状としては、手足がしびれたり、痛みが出たり、足の裏に違和感が走ったりし、特徴として、必ず両側にしびれが来ること、手や足の先端からしびれが始まるということ。それに足がつるという症状もこれに当てはまります。

驚くことに神経障害は、糖尿病患者の70%がおこる症状とわかっています。

音叉を手首や足の指に当てるだけの簡単な検査で、反応や程度を調べ正確に把握する必要がありますが、この検査では自覚症状の軽い神経障害でも簡単に見つかります。

糖尿病神経障害の中期におこる症状

神経障害が進むと、しびれや違和感などの症状がだいぶひどく現れてきます。

しびれの悪化は想像異常につらいものがあり、夜眠れないほどの痛みが伴うほどです。

また、糖尿病も喫煙も動脈硬化の促進因子ですが、糖尿病の人がタバコを吸っていると2つが重なり合うことで相乗効果が生まれ、神経障害だけでなく動脈が詰まって壊疽を引き起こす危険性もあります。

糖尿病の人でタバコを吸っている方は、いますぐやめた方がよさそうです。

糖尿病神経障害の末期になると症状はどう変化する

糖尿病神経障害が進行し末期に達すると、不思議なことに、しびれや痛み、違和感などのつらい症状はすべて消えるようになります。

実は、これは治ったわけではなく、神経が機能しなくなったことにあります。

この段階で、検査をしても、視神経が完全に機能しなくなっているために、温度を感じることもなく、振動を感じることもなく、痛みを感じることもなくなります。

この末期の状態では、たとえば沸騰した熱湯に指をつっこんでも温度や痛みを感じなくなるといいます。

壊疽になる人は、神経障害が末期の人です。

壊疽はなぜおこるか

糖尿病神経障害は、初期であれば血糖値を下げる血糖コントロールや薬で症状を改善できます。

ただし放置していると、足の間隔が麻痺して傷に気づかず、足の壊疽をおこして切断を余儀なくされることもあります。

「壊疽(えそ)とは、体のある一部分の組織が、やけどや凍傷などを引き起こすことにより、細胞が腐敗した状態なることで、
「壊死(えし)」は体の一部への血流が遮断され、その組織している細胞が死滅することです。

糖尿病による壊疽の多くは足に負った傷がきっかけになっています。糖尿病神経障害が進行していると、痛みを感じないために負傷しても気づかず、潰瘍や壊疽が知らないうちに起こってしまう危険性があります。

糖尿病では、血行障害や免疫力の低下もみられます。最悪の場、たとえば、足が壊死をおこすと切断を余儀なくされるので、糖尿病の人は足を清潔に保ちながら、水虫や小さな傷がないかどうか、こまめにチェックすることが大切です。

自分の足の異常を意識する習慣を身につけ、気になることがあったらお医者さんに相談してみて下さい。

糖尿病神経障害の検査方法

糖尿病神経障害の検査には2つの方法があり、糖尿病神経障害の有無を調べる検査としては、「アキレス腱反射」と「振動覚」の検査が一般的の行われます。

アキレス腱反射は、ゴムのハンマーでアキレス腱を軽く叩き、足が裏側方向に曲がるかその反応を調べる検査です。

振動覚検査は、弱い音波を出す音叉をくるぶしなどに当てて、患者が振動を感じている時間の長さを測定する検査です。

糖尿病神経障害による足の痛みやしびれの対処法

糖尿病神経障害によって足のしびれや痛みがおこる場合があります。マッサージをしたり、温めたりすることで症状が良くなる場合もありますが、糖尿病神経障害の原因は高血糖にあるので、血糖コントロールが一番大切です。

人によっては、つらい症状が心理的なストレスを呼び、さらに症状が重くなることがあり、そのような場合には、抗うつ薬などが処方されることもあります。

糖尿病神経障害だけでなく全ての合併症に言えることですが、血糖コントロールを十分に行うことです。

足は神経障害が最もおこりやすい場所なので、靴ずれなどに気づかないでいた場合、壊疽を引き起こす可能性もありますので、足のチェックとケアを十分に行う必要があります。

味覚の変化にも注意が必要で、たとえば以前と同じ味付けなのに味がしなかったり、濃いのにもかかわらず薄く感じたりするなどの違和感を感じたりする場合には、神経障害が進んでいる恐れもあります。