良好な血糖エネルギーは食生活を守ることで維持することができるのですが、これは、適した量でバランスの良い食事を規則正しく摂ることによって、食後にすい臓から分泌されるインスリンの働きが良くなることで、血糖コントロールが良好に保たれるのです。

糖尿病 予防

糖尿病を予防する食生活の3原則

糖尿病を予防するためには、次の食生活の3原則というのを守らないといけません。

1.適正エネルギー
2.栄養バランス
3.規則正しい食生活

1.適正エネルギー

各自の体型に合ったエネルギーの量だけ食べることで適正エネルギー保てますが、このエネルギー量は、体格や生活スタイルによってひとりひとり違います。

そこで、「標準体重」と「体重1kg当たりの必要エネルギー量」をもとに、「適正エネルギー」を割り出す計算式があるので、あなたに当てはめてみて下さい。

1)標準体重を求める
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

2)1日に必要なエネルギー量を割り出す
適正エネルギー(kcal)=標準体重(kg)×体重1kg当たりの必要エネルギー量

体重1kg当たりの必要エネルギー量は、次のエネルギー量を参考に数字を当てはめてください。
あまり動かないで1日を過ごす人→25kcal
活動はするがそれほど重労働ではない人→30kcal
重労働をしている人→40kcal

【計算例】
1日の中であまり動かない身長160cmの人の場合、標準体重を計算すると 56.32kgで、あまり動かない人の体重1kg当たりの必要エネルギー量は 25kcalなので、適正エネルギーは、56.32kg×25kcal=1408kcalとなります。

自分の体重や活動量に合ったエネルギー摂取量を割り出しましたら、その数字を基準に、腹八分目を心がけることです。

たとえばこの計算例の場合、適正エネルギーは1408kcalなので、腹八分目の場合、1126kcalの食事量しか摂ることができません。

食パン1枚、ご飯1杯、バナナ1本、牛乳120ml、じゃがいも中1個、うどん20gで各々160kcalもあります。

菓子パンは1個で400kcalくらいあるので、3個食べればもう1200kcalになってしまいます。

単品で見てみましたが、これだけでもけっこうエネルギー量の多い食事はすぐに摂取してしまうことがわかるはずです。

このことからも、今まで摂取してはいけないカロリー量の食事をどれだけ食べてきたのか、予想がつくのではないでしょうか。

2.栄養バランス

栄養バランスに関しては、特定の食品に偏らないで、栄養のバランスを考えて、いろいろな種類の食材を選ぶようにするとよく、特に野菜を多く摂って、脂肪は控えめにしたほうがよいです。

栄養バランスのとれた食事の割合の例には、次のようなものがあります。

炭水化物(糖質)=総エネルギー量の55~60%
タンパク質=成人は標準体重1kg当たり、1日約50~80g
食塩=1日7~10g以下
食物繊維=1日25g以上

積極的に食べた方がよい食品は、ビタミン、ミネラルを豊富に含んだ野菜類です。

総エネルギー量を控えめにした食事をしていると、ビタミン、ミネラルが不足しがちになりますので、これらを豊富に含む野菜類は、意識して積極的に摂ったほうがよいです。

また、食物繊維を多く含む野菜類、きのこ類、海藻類、こんにゃくなどは、血糖値の急激な上昇を抑える働きをしてくれるので、積極的に食べた方がよいです。



摂取しない方がよい食品は砂糖で、砂糖も炭水化物なのですが、ごなんやパンなど、一般の炭水化物よりも早く吸収されるため、血糖値を急激に上げてしまいます。特にお菓子や清涼飲料水には砂糖がたっぷり入っているので、おやつ類は控えた方がよいです。
3.2-3

塩分の多い漬物、つくだ煮、干物などは血圧を高めるので控えた方がよく、コレステロールの多いイカ、卵黄、飽和脂肪酸の多い肉の脂身なども控えた方がよいです。

3.規則正しい食生活

朝、昼、夜の1日3回、規則的な時間に、均等な量の食事を摂ることが、規則正しい食事といえます。もちろんカロリーオーバーになるような間食は避けるようにします。

規則正しい食生活を行なうには、色々と気をつけていかなければいけないことがあり、それにはまず、食べたものの理解と関心度が深まるように、ノートなどに毎回食べたものを書き記す必要があります。これは、たとえば後で調べた時に、意外とカロリーが高かったりする場合があり、食事を見直す時に役立ちます。

過食は糖尿病の発症や悪化に大きく関係します。たとえば、料理を多めに作ってしまった場合、残したり捨ててしまうと、もったいないと思って余計に食べてしまうことが多くないですか。

この傾向は良くないわけで、作る時はできるだけ少なめに作って残らないようにしたり、次の回に食べるのを回したりすることをおすすめします。

糖尿病の人は、早食いの傾向がありこれはよくないので、食べる時はゆっくりと時間をかけて噛んだほうが良いです。

主食を玄米などの精製度の低いものに変えると効果があり、食物繊維の多い野菜類、きのこ類、海藻類を積極的に献立に入れるようにするのもよいです。



食事はほぼ決まった時間に摂るのが理想的です。

また、寝るまでに十分な時間がある時間帯に、たとえば夜12時に寝る場合は、夜8時までには夕食をすませた方がよいです。

3.2-1

糖尿病の人の食事療法では、ある時はエネルギーを多くとったり、ある時は少なかったりするような、毎回違ったエネルギー摂取量ではなく、1日3回均等にエネルギーを摂るように食べることが望ましいです。

お菓子やジュース類には、砂糖がたくさん使われているので、これを減らしたり、一切摂らないことで食事療法がうまくいく場合もありますし、揚げ物はエネルギー量が多いので、控えた方がよいです。

カレーやシチューなど具材を鍋に放り込んで作る料理や、チャーハンや焼きそばなどは、エネルギー量が相当高いので、食べ過ぎないことです。

エネルギー量が高い食事は、意識して量を減らして食べる努力をする必要があるようです。