増殖中の現代病!子供の糖尿病は改善できないのか

昔の子供の糖尿病の多くは1型糖尿病のことを指していましたが、近年では2型糖尿病の子供が増えており、現在、子供の糖尿病のうちの半数以上は2型糖尿病であるといわれていることからも、子供にまで現代病が進んできていることが伺われます。

その多くの原因は大人と同じで、食生活の乱れと運動不足にあると考えられますが、その多くの場合は、親も子供も似たような生活体系をしていることもあげられます。

そのような場合、親が意識しない限り、子供の糖尿病は改善されることはないかもしれません。

子供の糖尿病が増えている原因

子供の糖尿病が増えている具体的な原因についてですが、食生活の乱れについては、脂肪分の多い肉中心の食事や、お菓子類を多く食べたり、ジュースやコーラなどをお茶代わりとして飲んだりしている子供が少なくないことです。

こうした食生活をしていると肥満になりやすく、これが糖尿病を発症しやすい状態になっていると考えられます。

また、子供が外で動き回ることができない環境になってきたことや、家の中でゲーム主体の生活などが続くことによる運動不足も深刻な問題です。

最近では外で遊べる環境も少なくなってきたり、異常な行動をする人が増えたことによる社会環境の悪化で、外で遊ばせることが怖いという親も増えてきていることもあり、安心して外で遊べる機会が減ってきていることも原因であると考えられます。

それだけではなく、都会でも田舎でも、子供は習い事に忙しい傾向が強く、近所の子供たちとあまり遊ばれない環境になったこともあげられます。

そのようなことからも、遊ばせたくても、積極的に外で遊ばせる機会を作ることは難しくなってきていると考えられますし、このように子供の生活環境が糖尿病を発症しやすい状態にあるため、糖尿病の子供が増えていると予想されます。

しかし、子供の糖尿病のことを考えるとそのようなことを言っているわけにはいかず、スポーツなどで汗を流したり、子供にも買い物や家事を手伝わせるなど、体を動かす場面を積極的に作り出す環境を作り出す工夫も必要です。

子供 糖尿病

食生活の悪化から子供の糖尿病改善するには

子供の糖尿病を予防するためには、食生活を見直してみる必要があります。

ただし、子供の糖尿病の治療では、成長に必要な栄養を確保しながら食事療法をしていかなければなりません。

そこで食事制限は、肥満がある場合は普通の子供の10%減、肥満がない場合は5%減を目安にすることになっています。

単純に体に悪影響を及ぼす減量だけを目標とせず、生活習慣の改善が達成基準のひとつとして目指すことが大切です。

  • 毎日ほぼ決まった時刻に食事をする
  • お弁当などは栄養バランスを考えた献立にする
  • 脂肪分や塩分の多い外食を避ける
  • 毎日運動する習慣を作る
  • このようなことは、血糖コントロールに役立ちますが、親の方ががんばって意識して努力する割合が高いといえます。

    もしも親の方も糖尿病もしくは糖尿病予備軍であれば、子供と一緒にこのようなことをしていく必要はあります。

    子供の1型糖尿病に早く気づくために注意しておく症状

    糖尿病にはインスリンがまったく、あるいはほとんど分泌されない1型糖尿病と、インスリンは分泌されてはいるものの、その量が少なかったり効き目が悪い状態になっていたりする2型糖尿病があります。

    日本人の場合、大人では圧倒的に2型糖尿病が多いのですが、子供の場合は、1型糖尿病はけっして少なくはなく、10~15歳の時期に発症することが多いのですが、乳幼児にも見られます。

    1型糖尿病は原因不明のものが約半数を占めており、残りの半数はウイルス感染などが関係していると考えられます。

    1型糖尿病と早めに気づくべき症状には、非常にノドが渇いたり、飲み物をたくさん飲んでトイレによく行ったり、たくさん食べているのに体重が減ったり、全身がだるいなどといったものがあります。

    この症状に気づけば病院で診察を受ける必要がありますが、見過ごしてしまった場合は昏睡状態に陥り、最悪の場合は命の危険さえあります。

    子供 糖尿病

    子供の糖尿病も食事と運動による治療が必要

    インスリン分泌促進系の経口血糖降下薬は、2型糖尿病には効果があるのですが、1型の糖尿病の治療には効き目がありません。

    インスリン製剤には持続時間によって様々なタイプがあり、本来の生理的なインスリン分泌になるべく近い形になるように、いくつかのタイプのインスリン製剤を組み合わせて、1日数回に分けて注射する方法が一般的です。

    子供の糖尿病治療にもインスリンが必要になる場合がありますが、子供の糖尿病の場合、インスリン療法に加えて、食事療法と運動療法に取り組む必要がありますが、大人の糖尿病と違って、子供の場合は成長に必要な栄養を確保しなければいけません。

    そこで、必要十分な栄養を食事で摂ったうえでインスリン製剤の量を調節することになります。

    運動にはインスリンの働きを高める効果があり、運動をすると血糖値が下がるので、軽いおやつを運動中や運動前後に食べるなどの工夫が必要ですが、低血糖に注意すれば、普通の子供と同じようにスポーツや部活動などで汗を流すことができます。

    子供 糖尿病

    血糖値が下がりすぎて低血糖になった場合の対処法

    子供の低血糖の症状と対応については大人の場合と同じで、低血糖の状態になると、全身がだるくなり、震えや冷や汗がでたり、物がかすんで見えたり、顔面蒼白になったりといった症状が見られます。

    このような場合には血糖値を測定し、60mg/dl以下なら低血糖ということなので、そのような状況になったら、ブドウ糖を口から摂り込みます。

    普段、ブドウ糖を持ち歩くことが望ましいのですが、持っていない場合は、ジュースや砂糖で代用することも可能です。

    もしも、低血糖でけいれんをおこしたり、昏睡状態になったりした場合は、家族がグルゴン製剤を注射することができれば、筋肉注射を施してからすぐに救急車を呼び、主治医にも連絡しておくことです。
    ※グルゴン製剤は血糖値を上げる働きのあるホルモン製剤

    子供が1型糖尿病の場合は、事前に主治医とよく相談しておき、本人や家族が血糖自己測定器やブドウ糖を持ち歩いたり、家族がグルゴン製剤を注射できるように、あらかじめ準備しておく必要があります。

    また、子供が低血糖を起こした際の対処法について、学校の先生などとも相談しておく必要があります。