糖尿病神経障害は三大合併症の中で最も早く表われやすいので一番早く気づくことができ、糖尿病の発症から5年ほどで表われることが多いようです。
糖尿病神経障害は、高血糖が続くことにより細い血管が侵されることによって、酸素や栄養が末梢神経の細胞に十分に行きわたらなくなるために、神経組織が傷つき障害を受けることで発症します。
高血糖により直接神経が障害を受け、神経線維が変性や脱落することも糖尿病神経障害の大きな要因になっています。
高血糖の状態が続くと、神経・網膜・水晶体・赤血球・腎臓などの細胞でブドウ糖がポリオール経路によって神経にたまり、細胞内にソルビトールが増加します。
その結果浸透圧が上昇し細胞が損傷したりすることで、神経の周囲の血管も障害され神経の働きが低下することで、神経障害などの合併症が起こると考えられています。
このソルビトールは、高血糖が続くと多量に作り出される物質で、神経細胞の中に溜まることで細胞の機能が低下するとされている神経障害の原因のひとつです。
糖尿病神経障害に関係する神経について
糖尿病神経障害は、痛みなどを感じる感覚神経や筋肉を動かす運動神経が障害される「末梢神経障害」と、臓器の活動や血圧調整、体温の調節などに関わる自律神経が侵される「自律神経障害」に大きく分けられ、それぞれの神経に症状が表われます。
高血糖によって障害されるのは末梢神経で、末梢神経には、感覚と運動に関わる体性神経と、自分の意思とは無関係に内臓の働きや血圧調節などを行う自律神経がありますが、体性神経は、さらに知覚神経と運動神経、自律神経は交感神経と副交感神経に分かれます。
血糖値を下げる治療を「血糖コントロール」といいますが、初期の糖尿病神経障害であれば血糖コントロールや薬で症状を改善することは可能です。
しかしこれを放置していると、足の感覚が麻痺して傷に気づかず、足の壊疽を起こして切断を余儀なくされることもあるのできちんと治療することが大事です。
糖尿病神経障害の症状
高血糖によって末梢血管の血流が悪くなり、足のしびれや痛みなど、その他にも様々な症状を起こします。
末端の感覚も鈍くなり、靴ずれややけどなどのケガをしても気づかないので、小さな傷でも感染症を引き起こしやすく、壊疽を起こすこともあります。
糖尿病神経障害の症状には、次のようなものがあげられます。
- 手足のしびれや痛み
- こむら返り
- 異常発汗
- 吐き気
- 食欲不振
- 胃もたれ
- 便秘・下痢
- 性機能障害
- 立ちくらみ
- 排尿困難
- 顔面神経麻痺
- 潰瘍
- 壊疽