食後などに血糖値が一時的に高くなることがあったり、遺伝的要素や生活習慣として糖尿病の危険因子を持っている人などを糖尿病予備軍と呼ぶことがあります。

糖尿病予備軍は特に正式な定義と言われるものはなく、血糖値の判定区分における境界型と同じ意味合いで使われることが多いです。

糖尿病予備軍と呼ばれるのには訳があり、この先の過ごし方によっては糖尿病になる可能性があるからです。

逆に気をつけていれば糖尿病にならずにすむかもしれませんし、たとえなったとしても早く気付けば進行を防ぐことはできます。

ところが、残念ながら予備軍と言われた段階で糖尿病に対する対策をしっかり行う人が少ないことが、糖尿病悪化へと進行していく現状があります。

そのため、何も対策をしないまま数年を過ごし、はっきり糖尿病とわかった時には、すでに合併症が進行しているケースが多くあります。

糖尿病予備軍の時点で食事や運動などの生活習慣の見直しや改善を始めることが、糖尿病予防にとっては非常に大切です。

糖尿病予備軍かどうかの判定

糖尿病にかかっているかを調べるための基本的な検査は、血液中の糖分の量(血糖値)を調べます。

また、血糖値が高くなると尿にも糖分が含まれるようになるため、尿検査の結果も役立ちます。

さらに詳しく調べるには、ブドウ糖を溶かした水を飲み、一定時間ごとの血糖値の変動を調べるブドウ糖負荷試験などを行ない、これらの検査をもとに、糖尿病であるかどうかが判断されます。

糖尿病予備軍にも判定基準があり、糖尿病とは判定されないですが、血糖値が若干高めのため糖尿病へと移行していく可能性がとても高いです。

糖尿病予備軍は糖尿病の一歩手前であるといわれますが、生活習慣を見直し、食生活の改善や運動に取り組むと、糖尿病の発症率がぐっと抑えられることがわかっています。

もちろん、すでに糖尿病にかかっている人も、その進行を食い止めたり改善することが可能です。

糖尿病予備軍の基準値はいくらか?

具体的に糖尿病予備軍備の基準値を上げておきますので参考にしてみて下さい。

【血糖値】
血糖値が99mg/㎗以下なら異常なし
血糖値が100~109以下ならB軽度異常
血糖値が110から125以下なら予備軍
血糖値が126以上は糖尿病と判断されます。

【HbA1c】
HbA1cが5.5%以下の場合は異常なし
HbA1cが5.6~5.9以下の場合はB軽度異常、
HbA1cが6.0~6.4以下までは予備軍
HbA1cが6.5以上の場合は糖尿病と判断されます。

>>糖尿病予備軍の基準値参考資料

この指標を基にすると予備軍と診断されるのは、空腹時血糖が110~125mg/㎗で、
なおかつ、HbA1cが6.0~6.4以下であれば、糖尿病予備軍と診断されます。

たとえば、空腹血糖が120前後の場合は、違う日にもう一度空腹血糖値などの検査を行います。

糖尿病境界型と糖尿病予備軍の違い

血糖値が高めでも、糖尿病型の診断基準に当てはまるほどでない場合を「境界型」といいますが、糖尿病予備軍は特に正式な定義はないので、血糖値の判定区分における境界型と同じ意味合いであいまいに使われることが多いです。

糖尿病境界型は糖尿病予備軍と同様、この時点で生活習慣の見直しや改善をしないと、糖尿病型に移行しやすいので要注意です。

境界型を放置すると、多くは数年で糖尿病型へ移行してしまいます。

しかし、生活習慣の見直しといっても個人差があり、肥満ではなく、しかも食べ過ぎてもいない、食事や運動に特に問題がないという場合でも、体質やストレスなど、血糖値を上げる何らかの要因が関わっているかもしれませんので、生活習慣を見直す手順としては、まず1日の行動を書き出してみるとよいです。

その上で、食事量や運動量をお医者さんや専門的な人にチェックしてもらうとともに、普段の生活でストレスはないかなども、見直してみます。

適正カロリーを守ってバランスの良い食事をし、適度に体を動かしてカロリーを消費する生活習慣に近づいていき、ストレスはためこまないことが理想的です。

糖尿病を防ぐために

糖尿病の予防と治療には、食生活の改善と運動の習慣がとても重要です。

進行した糖尿病では、薬物療法やインスリンを注射する方法が併用されることもありますが、基本となるのはあくまでも食事療法と運動療法になります。

糖尿病予備軍を防ぐための食事ですが、糖尿病だからといって、特に食べてはいけないものはなく、栄養が偏らないように、バランスよくいろいろな食材を食べることです。

ただし、食べすぎには注意が必要です。常に食べすぎを防ぐ工夫を考えて、簡単なことから実行することです。

運動で体を動かすと、糖尿病の進行を抑えたり、合併症を防ぐのに大きな効果があります。

体を動かすことで血液の循環がよくなり、筋肉に糖分がよく取り込まれるようになるので、血糖値が低くなります。

強い運動は必要なく、ウォーキングや体操などの軽目の運動を、30分以上続けると効果的です。

とくに食後の2時間程度は、血糖が高くなっているため糖分をエネルギーとして消費しやすくなっている時間帯です。

この時間を利用して、少なくとも2日に1日以上は運動できるよう心がけます。

ただし例外があり、心臓に疾患がある人や進行した糖尿病、合併症がある人は、医師に相談してから運動療法を行なってください。