1型糖尿病は遺伝とは関係はありませんが、2型糖尿病の場合には、インスリンの分泌がもともと弱い性質を受け継いでいる可能性がある遺伝的要素をもった人が、発症しやすい傾向があることがわかっています。

親がそのような体質を持ち、2型の糖尿病を発症した場合は、子供にもその体質が遺伝することがあると考えられます。

糖尿病の遺伝は、親や兄弟、祖父母など近親者に糖尿病の人がいる場合は自分もなりやすいという自覚が必要で、病院での検査時には、近親者に糖尿病患者がいるかどうかで判定されることがあります。

糖尿病 遺伝

遺伝的な要素だけが糖尿病を発症させるわけではない

糖尿病の家族歴があると糖尿病になりやすい傾向があります。

ある統計データによると、

  • 親や兄弟に糖尿病患者がいる人で糖尿病になった人は、25.7%
  • 親や兄弟に糖尿病患者がいない人で糖尿病になった人は、14.4%
  • 糖尿病と遺伝的な要因には、このような傾向がデータに出ておりますが、糖尿病は遺伝的要素だけで引き起こすというわけではなく、これらを見ても、遺伝以外の、過食や運動不足、ストレスといった環境的な要因がさらに加わることで発症することもあると考えられています。

    そのため、遺伝的要素のある人は、普通の人以上に食生活に気を配ったり、運動不足にならないように努めたりすることが大切です。

    糖尿病 遺伝

    2型の糖尿病の場合、親から遺伝的要素を受け継いだとしても、生活習慣や環境が異なれば、発症しないこともあります。

    ただし、生活習慣は家族間で似通っていることが多いことから、発症した親の生活習慣の見直しを手伝いながら、ご自身の生活習慣も改善していくことができれば、それが発症予防にも繋がります。



    近親者に糖尿病の人がいて遺伝的素因を持っていると思われる人は、こまめに健康診断を受けておくと、糖尿病が発症したとしても、糖尿病と診断される前の血糖値が高めの状態の時に、早期に発見することができれば、食事や運動で糖尿病を予防することが可能です。

    遺伝的素因があるという自覚を持つことで、かえって健康的な生活を送ることができるというわけです。

    遺伝的な要素がなくても糖尿病になるのか?

    一方、遺伝的な素因がない人が絶対に糖尿病にならないかというと、決してそのようなことはありません。

    過食、運動不足、ストレスが生じる体に良くない生活を続けていれば、遺伝的な要素がなくても糖尿病は十分におこりえますので、そのような意味からも、糖尿病は典型的な生活習慣病といえます。

    遺伝的な要素を持っていないとしても、糖尿病を改善するのに遅すぎるという事はないので、もう一度生活習慣を意識して見直す必要があります。