糖尿病は、合併症が進行しその症状が出た時や、他の病気で受診した時に見つかることが多く、そのほかにも、健康診断や人間ドックなどで糖尿病の疑いがあると判定された時に気づくことがあります。
さて、ここでいう「糖尿病の疑い」とはどのようなことなのでしょう。また、「糖尿病の疑い」があると言われたらどのようなことを行っていくのか解説します。
健康診断で高血糖が発覚してから糖尿病と診断されるまで
自覚症状の少ない糖尿病を早期発見するために、健康診断では皮膚・目・口腔・下肢・神経系などの項目をチェックしていきます。
これらの判定基準が良くないと、「糖尿病」や糖尿病のリスクが高い状態の「境界型」と判断されて「要再検査」を言い渡されます。
再検査では、問診と血液検査が行われことになり、問診では、過去の病歴や家族の病気歴、肥満の状況、生活習慣などを聞き取りされたり、身体に関わる状況を細かくチェックされることになります。
採血による血液検査では「空腹時血糖値」「随時血糖値」「経口ブドウ糖負荷試験」「ヘモグロビンA1c」などにより、糖尿病であるかどうかを正確に診断するための検査を行ないます。
診断の結果によっては、糖尿病型か境界型かなどの確定診断が行われ、場合によっては、3~6ヶ月以内に再検査をする経過観察を行なうことになります。
この結果により、正常でなければ糖尿病の診断が下され、即治療が始まります。
検査にかかる時間は2時間前後が多く、検査費用は保険が適用されます。
健診を受けずに早い段階で糖尿病を見つけることができなかった多くの患者は、体の異常を感じてようやく受診しようと動き出しますが、この場合、すでに糖尿病合併症を発症しているケースが多いので、早期発見するためには、最低でも年に1回は健診を受けた方がよいです。
特定健診ではメタボの人に糖尿病の発症を警告している
メタボリックシンドローム(メタボ)は、代謝症候群とか内臓脂肪症候群などと言われ、内臓脂肪型肥満に高血糖や脂質異常、高血圧が重複し、様々な疾病リスクが高くなった状態のことを指します。
40歳以上の人は重大な病気を防ぐために、通常の検診に加えてメタボリックシンドロームを早期発見するための特定健診というのを、各自治体が、年 1回受けることをすすめております。
特定健診では、将来の病気を予防するために行われ、男性の場合は腹囲が85cm以上、女性の場合90cm以上だとメタボリックシンドロームと判定され、この数値以上の場合は、糖尿病を発症する可能性が高くなると考えられています。
この数値を超えると保健指導の対象となるわけですが、糖尿病の疑いと判定されない場合でも、自分の将来の疾病リスクを正しく知るためには、保健指導を受けた方がよいかもしれません。
問診時に体の部位でチェックされる項目
糖尿病の疑いがあるかどうか、次にあげる部位の身体症状で、問診時にチェックされます。
皮膚に異常がないか
乾燥や変色、水疱症、カンジタなどの感染症がないかどうかチェックされます
目に異常がないか
口腔に異常がないか
口腔内乾燥、虫歯、歯周病、歯牙欠損、口腔内感染症などの有無をチェックされます
下肢に異常がないか
浮腫や壊疽、潰瘍、足背動脈の脈などをチェックされます
神経系に異常がないか
感覚障害、発汗異常、排尿障害、勃起障害などの有無をチェックされます