グルコースとグリコーゲンは異なる物質で、それぞれ役割も違います。
その違いをわかりやすく説明します。
グルコースの性質
「グルコース」とは、体のエネルギー源として非常に重要な物質で、別名を「ブドウ糖」とも呼ばれています。化学式は: C₆H₁₂O₆
グルコースの性質は、最も基本的な糖の一種の「単糖類」で、水に溶けやすく、炭水化物を分解して直接エネルギー源として使われ、主に血液中に存在しています。
グルコースの役割
「グルコース」には、「エネルギー供給」「血糖値の維持」「余ったエネルギーの貯蔵」の役割があります。
■エネルギー供給をする役割
グルコースは細胞の中でエネルギーとして利用され、体を動かしたり、内臓や脳を働かせる役割があります。
グルコースは「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギーに変換されます。
■血糖値を維持する役割
グルコースは血液中を流れて、体中の細胞にエネルギーを運びます。
血液中のグルコース濃度は「血糖値」と呼ばれており、健康な数値の範囲に保たれる必要があります。
■余ったエネルギーの貯蔵をする役割
必要以上のグルコースは、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯蔵され、さらに余った分は脂肪として蓄えられます。
グルコースはどこから来る
「グルコース」はどこから来るのかというと「食べ物」と「肝臓の合成」の2つからです。
■食べ物からの場合
ご飯、パン、麺類、果物などの炭水化物が体内で分解されてグルコースになります。
例えば、でんぷんや砂糖(ショ糖)が分解されるとグルコースが生成されます。
■肝臓で合成される場合
体が食べ物を摂取しないときには、「糖新生」というプロセスで、肝臓がアミノ酸や脂肪などの他の物質を使ってグルコースを作ります。
グルコースが不足したらどうなるの?
「グルコース」が不足すると、エネルギーが足りなくなって、めまいや疲労、意識障害などを引き起こす低血糖という症状がおこります。
グルコースが多すぎるとどうなるの?
「グルコース」(ブドウ糖)が多すぎると、血管に負担がかかり、糖尿病やその合併症である「腎臓病」「神経障害」などのリスクが高まる高血糖の状態になります。
グルコースは体に必要で、体中の細胞がすぐに利用できるエネルギー源ですが、適切な量を維持することが欠かせません。
血液中に存在し細胞に運ばれるので、バランスの取れた食事と運動を行なうことで、健康な血糖値管理につながります。
グリコーゲンの性質
「グリコーゲン」は、私たちの体が「エネルギーを貯めておくための便利な形」で、「グルコース」(ブドウ糖)が多数つながってできた多糖類(グルコースの貯蔵形態)です。
水に溶けにくいけど、エネルギーを長期間貯蔵できる形です。
グリコーゲンとはなに?
■エネルギーの貯蔵庫
グリコーゲンは、グルコース(ブドウ糖)がたくさんつながった形をした物質で、「食べ物から得たエネルギーをすぐに使わないときに貯めておく」ために、肝臓や筋肉で作られます。
グリコーゲンがある場所はどこ?
グリコーゲンは主に肝臓と筋肉の2つに貯蔵されます。
■1.肝臓
血糖値を維持・安定させるために使います。
例えば、肝臓によって空腹時に血糖値を維持します。
■2.筋肉
運動時のエネルギーとして使います。
例えば、ランニング中に筋肉が必要とするエネルギー源になります。
グリコーゲンは主に肝臓や筋肉で合成されていて、肝臓のグリコーゲンは血糖値を一定に保つために使われる役割があります。
具体的には、グリコーゲンは、食事の間などに血糖値が下がってくるとブドウ糖を放出し、生きていくのに必要なエネルギーを供給します。
グリコーゲンは筋肉では筋運動のエネルギー源として使われますが、脂肪のようにエネルギーの貯蔵には向かないため、一時的なエネルギー貯蔵の役割しかありません。
人間の体内にある糖質はグリコーゲンとして肝臓や筋肉中にあります。
肝臓での機能は、食事からの炭水化物がエネルギー源として速やかに供給されない場合に、グリコーゲンを分解してグルコースを生成し他の組織に供給します。
グリコーゲンの役割
■1.エネルギーの短期貯蔵
食事で得たグルコースを貯め、必要なときに使えるようにします。
食べた直後はグルコースが血液中に多くありますが、余った分をグリコーゲンに変えます。
運動や空腹時にグリコーゲンが分解され、再びグルコースに戻ります。
まとめると、グルコースを必要としないときに一時的に短期的に貯蔵され、必要に応じてグルコースに分解されるということです。
■2.血糖値の調節(肝臓の役割)
食事を摂らない時間が長いとき、肝臓がグリコーゲンを分解して血液中にグルコースを放出します。
これにより、脳や他の臓器がエネルギー不足にならないようにします。
■3.運動中のエネルギー供給(筋肉の役割)
筋肉内のグリコーゲンは、特に激しい運動中に速やかにエネルギーとして利用されます。
「肝臓」では、約100gのグリコーゲンを貯蔵でき、これで約半日~1日分のエネルギーを供給可能です。
「筋肉」では、約300~400gのグリコーゲンを貯蔵でき、運動量によって消費速度が変わります。
グリコーゲンは脂肪などにくらべると利用されやすい分、すぐ使われてなくなってしまいます。
グリコーゲンが足りない状態で筋力トレーニングなどをすると、力が出ずに実力を発揮できなくなります。
特にエネルギー切れに注意したいのが肝臓に蓄えられる肝グリコーゲンの方で、筋肉のグリコーゲンがたくさん残っていても、肝グリコーゲンが空になると運動能力が大きく低下してしまいます。
肝臓のグリコーゲンは血糖値を保つために重要な物質で、これがなくなると命に関わるといわれます。
肝臓のグリコーゲン貯蔵量は300~400kcal程度しかなく、たとえば満タンであっても約8時間くらいで空になります。
これは夕食をしっかり食べたとしても次の朝には肝臓のグリコーゲンがなくなる量なので、たとえば強いトレーニングなどを行う場合は、朝食を抜いたトレーニングはしないほうがよいです。
肝臓グリコーゲンが満タンから空になるまでの時間は1~2時間程度と短いので、もしも激しい運動を続ける場合には、運動中に栄養補給を行ったり筋肉内のグリコーゲンを増やして肝グリコーゲンの消費を少なくしたりグリコーゲン切れによる運動能力の低下を防いだほうがよいです。
グリコーゲンが不足したらどうなるの?
肝臓のグリコーゲンが足りなくなると血糖値が下がり、めまいや疲労感、集中力低下が起こる低血糖になります。
筋肉のグリコーゲンが不足すると、エネルギー不足で力が出なくなり、運動パフォーマンスの低下につながります。
グリコーゲンはどうやって増したらいい?
■炭水化物を含む食事を摂る
ご飯、パン、パスタ、フルーツなどを摂ることで、体がグリコーゲンを作りやすくなります。
■運動後の補給をする
運動後に炭水化物を摂ると、消耗したグリコーゲンが効率よく補充されます。
「グリコーゲン」は短期的なエネルギーの蓄えという概念があり、食事を摂らないときや運動中などに分解されてグルコースになります。
「グリコーゲン」は、すぐに使えるエネルギーである「グルコース」が足りないときに取り出して使えます。
一方、「グルコース」は消費されるか、余ると「グリコーゲン」や脂肪として蓄えられます。
グリコーゲンのまとめ
グリコーゲンについてまとめると、グリコーゲンは、主に肝臓や筋肉に蓄えられており、運動を行う時に使うエネルギー源や空腹時の血糖維持に利用されたりと、エネルギーを一時的に貯蔵し人間の活動に欠かせないものです。
簡単に言うとグリコーゲンは、人や動物の体内でエネルギーを一時的に保存しておくための物質です。
必要な時にグリコーゲンをどんどん分解して糖質を取り出すことができますし、グリコーゲンを内臓や筋肉に蓄えておくと、運動の時に効率よく動くことができます。
グリコーゲン=一時な貯蔵エネルギー(貯蔵糖)と覚えておくとよいでしょう。
グリコーゲンは、多数のブドウ糖が複雑につながった多糖類で、動物デンプンとも呼ばれ、糖質(ブドウ糖)がたくさんつながった構造になっています。
グリコーゲンの健康効果としては、疲労回復、集中力を高める、血糖値を調節するなどの作用があります。
単一の糖分子 | 多数のグルコース分子が結合したもの | |
即効性のエネルギー供給 | エネルギーの短期的な貯蔵 | |
血液中 | 肝臓や筋肉 | |
直接細胞でエネルギー源として利用 | 必要に応じてグルコースに分解して利用 |