糖尿病と診断される方の多くは「まさか、自分が!」と思われ、信じることができないものですが、それは今までの生活習慣の悪さというツケが溜まってきた結果でもあるので、身に覚えのある方はその状況を受け止めるしかありません。

では、糖尿病を発症するともう二度と治らないと言われますが、本当にそうなのでしょうか。

糖尿病

糖尿病は治らない!

インスリンが分泌されていても働きが悪いインスリン抵抗性といわれる体質や、1型糖尿病のようにインスリンがほとんど分泌されないという体質は、現在の治療では一生治すことができない病気だと言われています。

では、一番多くの方が発症する2型の糖尿病場合ですが、この糖尿病という病気を誤解されている方が多くいるので、糖尿病を発症するとどうなるのか初めに解説しておきます。

糖尿病はインスリンの分泌や働きが低下して、血糖値が高くなる病気です。

しかし、

  • 血糖値さえ下げれば糖尿病は治る
  • 血糖値さえ下げれば合併症の心配はない
  • このように安易に思われている方もたくさんいます。

    ところが、血糖値が正常な値に戻ることはまれにありますが、それは一時的なことであって、血糖値が正常な値になったとしても、一度糖尿病を発症してしまったら決して治ることはありません。

    もちろん、一時的にカロリー制限やコレステロールを下げる食事に変えて血糖値が下がったとしても、治ったことにはなりません。

    それはなぜなのかというと、今まで長年蓄えてきた12年分のツケが関係してきます。

    糖尿病になる人は発症の12年前から、血糖値が高くなりだし、その分すい臓に負担がかかっています。

    糖尿病は急に発症する病気ではなく、この12年もの長い期間を費やして少しずつ血糖値が高くなり、健康診断などの時に糖尿病と診断されます。

    この12年もの間に生活習慣が乱れたことによって発症したのが糖尿病というわけですが、この時点ですい臓の働きを元に戻すことはもうできないのです。

    糖尿病は健康的な生活を送る良いきっかけ

    とはいえ、初期の状態であれば悲観することはなく、体質は治らなくても、血糖値を下げることができれば、三大合併症や動脈硬化による病気を予防できますし、合併症を発症していなければ、健康な人と変わらない生活を送ることができます。

    糖尿病と診断された直後はショックが大きいのはわかりますが、一度診断が下されたら、糖尿病は一生付き合っていく病気と割り切るしかありません。

    血糖値を下げるためにもっとも重要なことは、実は、ほとんどの糖尿病患者の方が嫌がる食事と運動による生活改善です。

    これができなかったことで糖尿病になったわけですが、あの時ちゃんとした生活を送っていればと思っても、糖尿病になって初めて事の重大さを意識させられて、その時にやっと気づいてからでは遅いという事を多くの方が身をもって経験しています。

    糖尿病は風邪のようにじっとしていれば治るというものではなく、血糖値を下げる行動をこれから行なっていかないと、命に関わる合併症と呼ばれる病気の数々を引き起こす可能性があります。

    これを機会に健康的な生活を送るように、前向きにとらえて血糖値をコントロールしていくしかありません。

    血糖値を下げることはできる

    通常、糖尿病の治療は生活習慣の改善から始めますが、1型糖尿病の人と2型糖尿病で、すでに合併症を発症している人は、血糖コントロールをしっかり行った方がよいので、生活習慣の改善と同時に薬物療法を開始することがあります。

    また、近年、意思によってはインスリンを分泌する膵臓の細胞を保護する目的で、早くからインスリン療法を始めることもあります。

    2型糖尿病の治療は、食事と運動が基本ですが、食事の改善は、どのタイプの糖尿病でも必ず行い、食べ過ぎを防いだり、バランスよく食べるなどします。
    運動では、まずは運動不足を解消するような、生活の中で体を動かしたり、だんだんと運動に移行していくようにします。

    これらを続けることで、血糖値が下がったり、エネルギーが消費することで肥満が改善されることになります。